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秋田の手しごと、暮らしごと

本サイトは、2012年9月に秋田公立美術工芸短期大学大学開放センター「アトリエももさだ」で行なわれた市民向けイベント「ももさだ祭」の企画として、あきた産業デザイン支援センターが主催した「秋田の手しごと、暮らしごと」展を元に作成しております。

佐藤美博 miNcaオーナー

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暮らしの道具が揃うお店「miNca」

インタビュー
佐藤さん

32歳の選択

日本三大花火大会で有名な大曲で、日本各地の焼き物や木工品、編みかごなどオーナーの目線で選んだ日用の道具が並ぶお店「miNca」を訪ねた。オーナーである佐藤さんは、高校を卒業してバンドをやるために上京、その後は福島県で家具の営業マンとして働いていた。「マニュアルも無い会社で、好きなようにやらせてくれる場所でした。仕事の取り方も自分で考えながらでしたね。職人との付き合い方もこの時代に学びました。」と語り始めた。30歳を目前に将来の事を考え始め、失敗してもいいから自分の好きなことをやってみようと、昔からの夢であるお店を開くことを決めた。 2010年の夏、秋田に戻り、蔵人として日本酒造りの仕事をしながら、翌年32歳で日用雑貨・うつわ・家具のお店「miNca」をオープンした。

店内

柿渋染めの木綿の酒袋

「miNca」ではオリジナル商品もいくつかあるなか、使い込むほど味がでるという酒袋のバッグが店内に並んでいる。一つ一つ表情が違う木綿の生地は、大正から昭和くらいに使われていたという酒を絞る袋の生地を再利用している。各酒蔵で柿渋を使って染め、破れても蔵人達が縫って大事に使ってきたもの。この丈夫な生地をもう一度生き返らせたのが、茶色い小さなバッグである。生地の入手が困難で数に限りがあるため、この商品は飽きて使わなくなったら買い取るシステムにしているという。「まだ、誰も持ってきてないですけどね」と笑っていた。

楢岡焼

秋田の焼き物「楢岡焼」

「miNca」では、楢岡焼が最も売れている商品だという。楢岡焼と言えば鮮やかな青・・・だが、店内に並べられた楢岡焼は、深い青や透き通るような青、黒や白もあり、いわゆる土産物屋に並んでいるものとは少し違う。「楢岡焼はもともと知っていたけど、正直昔はあまり好きではなかったんです。しっかりとした箱に入った贈り物として買われ、使われないまま仕舞われてしまうイメージでした。」せっかく地元の土と釉薬を使っていいものを作っているのに、良さがうまく伝わってない。仕舞ったり飾ったりするのではなく「やっぱり使ってほしいですよね」。 「miNca」では、白い楢岡焼が特に人気だと言う。お客さんからは「白なんて楢岡焼じゃない」と言われることもあるが、「これもれっきとした楢岡焼ですよ」と答える。釉薬の配合や焼き方が違うだけで、同じ土、窯で焼いてる。miNcaで出会う楢岡焼は、どれも味わい深く、豊かだ。売る側の都合だけで地元の手しごとを均質化・合理化してはいけない。ここからその意識を変えていきたいと、佐藤さんは思っている。 直接窯元に足を運び作ってもらったり、お客さんとの対話から生まれた商品もあり、どんな使い方をしようか器を選ぶ楽しみ方がより広がっている。

漆花

お店を始めて1年

昨年の7月にオープンして1年と少し、仕事のやりがいについて伺ったところ、「モノより人が好きなんですよ。商品を通じていろんな人と会話をするのが今一番おもしろい。」と楽しそうに話してくれた。
クラフトイベントで知り合った、地元の漆作家「高橋睦」さんとの出会いもその一つだ。「若い作り手も応援したい。」と大曲の花火をモチーフにした、箸の制作を依頼。「漆花」シリーズとして販売している。「miNca」には、作り手とお客さんが繋がっていけばというオーナーの想いが込められていると感じた。

茶碗

佐藤さんの暮らしごと 「会津本郷焼」

おすすめの日用品を伺ったところ「5、6年前、福島に居たときに地元のいいものを使いたいと思い、会津本郷焼の茶碗を買いました。民藝というより作家ものなんですが今も毎日愛用しています。手に馴染む小振りな形で艶が無いのがいいですね。 これが今の仕事をするキッカケですね。」と語った。

写真

「秋田の手しごと、暮らしごと」展

2012年の夏、あきた産業デザイン支援センターが主催し、秋田県内の作り手やお店を取材、それらを紹介する企画展「秋田の手しごと、暮らしごと-美しい日用の道具と作り手を訪ねて-」が開催され、丁寧な仕事から生まれる日用の道具が展示されました。

楢岡焼 カップ

楢岡焼 カップ(2色)

楢岡焼 パン皿

楢岡焼 パン皿(2色)

楢岡焼 蓋付き

楢岡焼 蓋甕(フタガメ)

楢岡焼 ぐい呑み

楢岡焼 ぐい呑み

minca外観

miNca 日用雑貨・うつわ・家具


http://minca76.web.fc2.com/

「美しい日用の道具と
    作り手を訪ねて」

 伝統的な技術を活かしつつ、現代生活に合わせ新しくデザインされたもの。職人の確かな腕が生み出す、スタンダードで長く使い続けられる道具。
 ふるさとの手しごとと真摯に向き合い、作り手を応援するお店。
「あきた産業デザイン支援センター」のスタッフが、県内各地を走り回り、手しごとに関わる人たちを取材してきました。秋田の様々な手しごとの“今”をご紹介します。

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