
本サイトは、2012年9月に秋田公立美術工芸短期大学大学開放センター「アトリエももさだ」で行なわれた市民向けイベント「ももさだ祭」の企画として、あきた産業デザイン支援センターが主催した「秋田の手しごと、暮らしごと」展を元に作成しております。
清水康孝 桶職人




現代の暮らしにも合う桶づくり


地元へ戻り、飛び込んだ職人の道
能代市、米代川の北に広がる水田地帯の集落。清水さんの工房はそこにある。取材に訪ねたところ、「気持ちがいいので、外でお話しましょう」と、涼しげな梅の木陰にテーブルを広げてくれた。 高校卒業後、関西で就職。20代前半に西日本を自転車で旅し、そこで出会った若者たちから、生まれ故郷の大切さを教えてもらった。能代へ戻った清水さんは、1984年に秋田杉桶樽が伝統的工芸品に指定されるも後継者が少ないことを地元の新聞で知り、弟子入りを志願。それが25、6歳の頃。あてもわからず飛び込んだ職人の道。師匠の技を、見て覚えた。その後独立して、東京で地道に品物を売り歩いた。最初は相手にされず苦労したが、そのうち様々な人の目に留まって、海外の有名ブランドやギャラリーから呼ばれるようにもなった。

「まさに『たがを外した』桶」
「たがを外した時点で、いろんなものが出来るようになったんです」。清水さんの作る桶は、秋田杉の柾目の美しさが際立っている。木製の桶は「結桶」(ゆいおけ)と言って、竹や金輪でできた「箍」(たが)をかけるのが本来だ。たがをかけることは、国が決めた秋田杉桶樽の伝統的工芸品指定の条件の一つでもある。「最初は(たがを外すことに)抵抗があった」が、外したことで、見た目がすっきりしただけでなく、造形にも制約が無くなった。デザイナーの小泉誠氏からは、「まさに『たがを外した』」と評された。8角形に面取りした桶は花器に。楕円形のオーバル桶はワインクーラーに…。伝統的な桶工法を守りつつ、現代の暮らしにも合う木の器を提案している。
家業のコメづくりをしながら自分のペースを大事に
「もともと人と接したり話したりするのが苦手でこの道に入ったんですが・・・」と少し恥ずかしそうに話す清水さんだが、それでもお客さんから「今も使ってますよ、と写真を送ってもらえたりすると嬉しいですね」と顔をほころばせる。そんなお客さんからは、修理が必要なときも連絡してくれるという。「仕事は信頼関係ですよ」と清水さん。家業のコメ作りとの両立、忙しさから体調を崩して桶づくりから離れた時期もあったが、「待っててくれた」人たちがいた。今は無理せず、自分のペースを大事に、桶づくりを続けている。

偶然から生まれた「へぎ桶」
ざっくりと割れた秋田杉の木肌。光の当たり具合で生まれる陰影が、なんとも美しい。長い風雪に鍛えられた秋田の杉の内なる表情を、清水さんは製作中に偶然見出した。 一度桶にした状態で、木口に鉈を当てて削ぎ落とす。「どう割れるかは、割るまでわからない。そこがおもしろい。」という。脆そうにも見えるが、力強くもある。清水さんならではの表現だ。

清水さんの暮らしごと 「飯茶碗」
ふだん使っているお気に入りの品を教えてもらった。「俺、全然こだわりが無いんですよ」と飄々と言いながら、「でも飯茶碗は好きですね。この前も買いました。持つと軽い、薄い繊細なものを選ぶんで、よく割っちゃうんです。」 稲刈りのシーズンを迎える9月。清水さんが丹精込めて作ったあきたこまちが盛られた飯茶碗を想像した。

「秋田の手しごと、暮らしごと」展
2012年の夏、あきた産業デザイン支援センターが主催し、秋田県内の作り手やお店を取材、それらを紹介する企画展「秋田の手しごと、暮らしごと-美しい日用の道具と作り手を訪ねて-」が開催され、丁寧な仕事から生まれる日用の道具が展示されました。
オーバル桶
桶
片口 大
木っぷ(こっぷ) 大・中・小
へぎ桶(花器)
清水康孝 Shimizu Yasutaka
作り手を訪ねて」
伝統的な技術を活かしつつ、現代生活に合わせ新しくデザインされたもの。職人の確かな腕が生み出す、スタンダードで長く使い続けられる道具。
ふるさとの手しごとと真摯に向き合い、作り手を応援するお店。
「あきた産業デザイン支援センター」のスタッフが、県内各地を走り回り、手しごとに関わる人たちを取材してきました。秋田の様々な手しごとの“今”をご紹介します。

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