業務内容:プレス金型の設計・製作、精密プレス加工
これからの持続化社会に必須となる産業部品の商品化を支援
自社設計で出来るプロダクトデザインを後押し。
商品開発経緯
東日本大震災以降、再生可能エネルギーの本格的な利用が注目されている。再生可能エネルギーは天候に左右され易い等の特徴があり、発電や蓄電を効率的にコントロールするために大電流の測定機器が必要となり、これらの機器の一部品として電気抵抗の小さな「シャント抵抗器」の需要が増すと考えられる。
プレス金型の設計製作からプレス加工まで一貫生産ができ、設計・開発段階からのVE提案による安価で高品質な製品が強みの株式会社カミテでは、弘前大学との共同研究開発により、他社従来品よりも高機能で低価格の「シャント抵抗器」の試作に成功。しかし営業先からは「デザインが良くない」と指摘を受けた。外からは見えない電気機器の一部品にもデザインの必要性を痛感した同社上手社長は、プレス技術を改良するとともに、デザイン性も高い高精度シャント抵抗器の試作に取り掛かった。
経営課題へのアプローチ・支援手法
これまでデザイナー活用経験が無かったため、デザインの進め方等について相談するため、あきた産業デザイン支援センターを訪れた。従来製品は銅合金のブロック材を削り金属板をカシメて製作するため、材料費・加工費がコストとなり高価格となる上、体積に対する表面積が小さいため放熱性に課題があり、肝心の抵抗値が不安定であった。表面積は形状にも影響するものである。
当初は外部デザイナーにデザイン依頼するつもりでいたが、センターでは自社の「設計者」でもデザインは可能なこと、また、形状が与える印象について様々な資料やスケッチにて指導・助言を行った。表面積を増やしつつ放熱性に配慮した形状を検討しながら、同社ではプレス金型を設計製作し、プレス技術の向上も成し遂げ、低コスト、高精度のシャント抵抗器の試作品が完成した。
支援成果・フォローアップ
完成した試作品を弘前大学にて性能分析を行ったところ、他社の従来製品よりも放熱効率が大幅に向上されたことが実証された。機能を信頼保証出来るデザインとして、営業先との商談のステージに進むことが出来そうである。このため、今後は販促ツール(展示会、ウェブサイト、業界向けカタログ等)のデザインなどが必要になってくるが、同社の要望と段階に応じて支援策を講じるつもりである。競合製品の中では、より美観を感じさせる製品には競争力があることから、意匠登録を薦めた。
さらに、再生可能エネルギーの普及に欠かせない製品として、2014年度のグッドデザイン賞へ応募し受賞。